(16) どっとや(江古田)

2000年末に開店した二郎系では新店の部類に属する店。江古田駅南口を池袋方面に2分ほど歩いたところにある黄色い看板の店。看板が二郎系のニュアンスを醸し出しているので、すぐにわかるだろう。黄色に黒い文字で「どっとや」。営業時間は、昼の12時から夜中の1時までと二郎系にしてはやや長めの設定。

簡単に蘊蓄を書くと、ここは二郎とは言っても「堀切二郎」の系譜を引く店であり、なるほど醤油を前面に打ち出したスープは堀切二郎のそれを彷彿とさせるものである。

先客は、2名。後客は、僕が店を出るときにカップルが一組入れ違いで入店した程度である。店内では、ほかの店で何回か見たことがある、いかにも玄人と思しき客が2人、店主と楽しげに二郎系ラーメンの最新事情についておハナシしている。こういう新店二郎系の店に良くいるタイプである。彼らは、色々な情報源から仕入れた情報を、こうしてお互いに交換しているのである。こういうハナシを交わす間に交友関係が広がれば、まぁ、よろしいことなのであろう。

僕は、ここに向かうための予習として、ラーメン系のサイトで「どっとや」の塩が美味いという情報を入手していたので、「ラーメンは基本メニューから」の自主ルールを破る初回から「塩ラーメン」注文を敢行。

ちなみに、ここのお品書き掲載メニューは「ラーメン(醤油系)」と「つけ麺」。うち「ラーメン(醤油系)」が基本メニューとなる。しかし、である。「塩ラーメン」を注文した瞬間に場の雰囲気が凍り付いた。それもそのはず、塩ラーメンはこの店の正規のメニューには載っていない「裏メニュー」とされているものだからだ。静寂が辺りを包むこと数秒。店主の返事は「今は置いてないよ」。その一言を機に、何事もなかったかのように客と店主の会話が再開された。緊張の一瞬。だが、少し気恥ずかしい。

仕方がないのでデフォルトのラーメンを「麺硬、ニンニク、アブラ、カラメ」で注文。常連にはつけ麺の方が人気があるようだが、僕は初食なので、ここは自主ルールに則ってデフォルトでラーメンを頼んだ。麺量は200グラム。ドカ盛りを基本とする二郎系としては若干少な目の分量である。

麺は、デフォルトでも硬め。ただし、本家の二郎軍団よりは若干麺が細いような(気がする)。極太に至らない太麺といったところか。

スープは、醤油の味が立っていて切れ味は鋭いが、飲み進めるにつれ、後半は若干飽きが来た。どちらかというと、最後の方は生醤油を飲んでいる錯覚に囚われたくらいであったが、この味が好きな人もいるのだろう。

野菜は、モヤシが多少載るが、若干茹ですぎの感があり少し残念。チャーシューは、「堀切二郎」譲りの小さく刻んだバラ肉であるが、インパクトは他の二郎系と比較すれば薄い方だ。

完食はしたものの、同じ「堀切二郎」出身の店であれば、小伝馬町「ぽっぽっ屋」の方が今のところは格上かなと思った。「二郎」を抜きにして普通のラーメン屋として考えると、上々の部類に属するのであろうが、「二郎」として考えると、インパクト、味ともに若干落ちるような気がする。

(1)麺10点、(2)スープ12点、(3)具3点、(4)バランス7点、(5)将来性7点の計39点。

ここは、つけ麺、塩ラーメンがウリの店だということなので、次回はその内のどちらかを試してみよう。

(最新実食日02年5月)