虚々実々新聞 第2号 (08/24/1996)

F形氏またもや失態か?

パソコン搬出作業における目を覆わんばかりのF形氏の失策については創刊号でとりあげたが、今度は社用車のキーを自宅に誤って持ち帰っていたことが、本紙の独自の調査により判明した。しかも翌日、翌翌日と夏休みをとっていたため、高度商品担当の総合機動力は少なめに見積もっても約23% (本紙調べ) 低下したものと思われる。

相次ぐF形氏の不祥事に対し、氏の会社採用に関わりをもったとされるT大OBやT京本社人事部にも批判が出はじめており、本社人事部長の更迭も一部で噂されている。

本紙特派員は、渦中の人物であるF形氏の独占インタヴューにまたもや成功した。以下にその一部を記す。

(虚実)「社用車のキーを自宅に持って帰ってしまったそうですが?」
(F形)「あの日のことはあまりよく憶えていない。過去は振り返らない主義だ」
(虚実)「同僚の方がそのように証言なさってますが」
(F形)「たとえ確かだとしても、それがどうしたというのだ?この前も話したようにおれはアメリカでの暮らしが長かった。おれの精神、いやスピリットは日本的な堅苦しい制約とは相容れない。おれの精神、いやスピリットはテキサス上空を舞うコンドルの如く自由なのだ。『フライ・アズ・ア・バード』という言葉を第3代大統領フランクリンも遺している」
(虚実)「それはこのほど発表されたビートルズの曲のタイトルでは・・・」
(F形)「だ、黙れ、黙れ。とにかくキーをどうしたこうしたなどというようなくだらない指摘には興味がない」
(虚実)「どうもありがとうございました」

あくまでも強気のF形氏である。

ニュービジネス ~ブルカラショップ出現

ここ二、三年、巷をにぎわせ、ついには社会現象にまで発展したブルセラショップ。そのブームは依然根強い。だが、生き馬の目を抜くこの業界は、つねに新たな市場を探し求めており、経営者は血まなこになっている。そんな彼らがいま、熱いまなざしを注いでいるのが「ブルカラ」である。
 
労働者すなわちブルー・カラーに焦点をあてたこのビジネス、その実態を調査すべく、W歌山市新通二丁目に先日オープンしたブルカラショップ「男の汗」本店を取材した。
 
十坪弱の店内には所狭しと労働着が陳列されている。店じゅうにたちこめる日雇い労働者の体臭。ここはまさにブルカラ・マニアの聖地である。鹿島、清水建設など大手ゼネコン会社の下請け業者の使用済み作業着はとりわけ人気が高く、五万円、七万円といった高額の値札がかかっている。
 
店長の花山田よしお氏 (46) は、

「現代は嗜好が微少に細分化された時代。ブルカラ・ビジネスはそうした潜在的ニーズを確実に掘り起こしたと自負している。今年度は年商五千万をめざす。将来的には一千億円規模の市場に成長することだろう」

と鼻息荒く語る。

W歌山の商売人の目はすでに22世紀を見据えている。