「新宿界隈で旨いラーメン屋はないか」いうリクエストがあると、僕は必ずこの店をその中のひとつとして紹介することにしている。
スープに煮干しなどの魚介類をふんだんに使い、それぞれの食材の旨味を最大限に活かしたラーメンづくりをする新宿エリアの中でも良心的な店のひとつ。特製ラーメンにかき揚げの天ぷらが載ることでも有名である。
ファミレス「すかいらーく」で調理師をしていた店主が、ラーメン好きが高じて開店した店であり、店の外観、ラーメンの味ともに「ニューウエーブ系ラーメン店」と呼ばれる一群の嚆矢とされている。
「阿闍利一番だし醤油ラーメン」の「硬め、コッテリ」が私のデフォルトである。これは魚貝類の味があっさり醤油スープにアクセントを添えた、飽きの来ない逸品。中細縮れ麺も、いつもながらスープに絡みやすく、するするとクチに吸い込まれていく。かき揚げ、チャーシューなどの具も、作り込みが丁寧でありスープとの相性も良い。
それらの具から溶け出す旨味が、食べ初めと食べ終わりのスープの味を微妙に変化させるのであるが、その変化を楽しむのもまた善き哉、である。
個性の薄い味なので、食べ進むにつれ、やや飽きが来ることは否めないものの、レヴェルの高さは折り紙付きである。
評価は(1)麺11点、(2)スープ15点、(3)具4点、(4)バランス7点、(5)将来性6点の計43点。
新宿エリア屈指の名店である。