※移転のため2004年2月より休業中
昨年オープンしたばかりの新店。ラーメン系のネットによる情報でブレイクしたニューウェーブ系の店のひとつ。めきめきと実力をつけ、最近では、日本橋周辺のエリアでは「ぽっぽっ屋」と並び称されるほどの店に成長した。テレビや雑誌の特集では、必ず、上位に名前が挙がる店。スープの素材や、丁寧な作り方で定評がある店では、常識となりつつあるが、そういう店は、味にゴマカシが効かず、素材の旨味や作り手の腕の巧拙が如実に現れる塩ラーメンが美味いかどうかが、ラーメンの旨さを計る指標のひとつとされている。そういう店の内のひとつ。
塩ワンタン麺をデフォルトで注文。ランチタイムの特典として、かやくご飯で作ったおにぎりが付いてくるのが嬉しい。少し得をした気分だ。
さて、ラーメンの方は、ワンタン、チャーシュー、そして、アクセントのシソの葉がバランス良く配された、外見的にもセンスある一品。色彩的にも女性にも受けるように工夫がなされており、好感。味の方は、まずスープについては、魚貝類、特にエビの薫りを前面に押し出しているのだろうか、一口目はその味の意外性に面食らってしまったが、食べ進むにつれ、魚貝類の風味が鼻腔を心地よくくすぐる上品な代物である。
麺は中太縮れ麺。コシのある縮れ麺がほどよくスープと絡み、良い意味で麺独特の臭味や嫌みがない。具はシソのアクセントがそれ程味の印象を左右していないことに驚きを感じたが、それ以外は、チャーシューは作り込みが丁寧で柔らかく、ワンタンは食べていて少し食感がプリプリしているなと思い、中身を見てみると、何とエビが入っている。豪華な一品だ。
分量的にも、多すぎることも少なすぎることもなく、誰でも美味しく食べることができる分量を研究し尽くしている感じだ。ただ、意外にも麺の湯切りが甘く、一回しか行っていないのが目に付いた。
とか何とか言いつつも、結局、いつの間にかペロリと完食してしまった。
評価:(1)麺11点、(2)スープ15点、(3)具4点、(4)バランス7点、(5)将来性7点の計44点。
いわゆる、目立たない一流とはこういう店のことを言うのであろうか。突出した部分こそないものの、総合すれば十分に一流店の部類に属する。ただし、もっと美味い店はないのかと訊かれれば「ある」と言わざるを得ない。
例えば、綱島にある「桃源」などは、同系列の魚貝類ベースの塩ラーメンを看板メニューとして作るが、「弥七」はこれらの超一流店と較べると、明らかに味が痩せていると思う。まぁ、とはいえ綱島まで行くのが大変だということを考えれば、十分に貴重な店ではある。
(最新実食日02年4月)